法人の総務
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 退職金を扱う共済・保険について?


 退職金の積立については、従業員分は掛金全額が費用となる退職金共済制度を利用し、役員分は資金繰り商品、節税商品、会社受取人となる生命保険を利用します。

ただし、保険など金融商品では、メリット・デメリットなど、商品選択はお金を支払う側の自己責任による判断となります。

貸借対照表には、負債として退職給付引当金を計上しなければなりません。

退職給付引当金・・・(企業の負債)
=退職金要支給額(期末に全員退職した場合の退職金給付額)−社外積立金


ところで、改正された高年齢者雇用安定法においては、事業主に定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の制度導入を義務付けています。ただし、個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではありません。

厚生労働省のQ&Aでは、「継続雇用制度を導入していない60歳定年制の企業において、平成18年4月1日以降に定年を理由として60歳で退職させたとしても、それが直ちに無効となるものではないと考えられますが、適切な継続雇用制度の導入等がなされていない事実を把握した場合には、改正高年齢者雇用安定法違反となりますので、公共職業安定所を通じて実態を調査し、必要に応じて、助言、指導、勧告を行うこととなります」と記しています。

継続雇用後の労働条件については、高年齢者の安定した雇用を確保するという改正高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます。

1年ごとに雇用契約を更新する形態については、改正高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、年齢のみを理由として65歳前に雇用を終了させるような制度は適当ではありません。
そのためには次のことが必要であると考えられますが、個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。
(1)  65歳(男性の年金支給開始年齢に合わせ男女とも同一の年齢)を下回る上限年齢が設定されていないこと
(2)  65歳(男性の年金支給開始年齢に合わせ男女とも同一の年齢)までは、原則として契約が更新されること(ただし、能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められます。)

(参考)
 高年齢者雇用確保措置の実施義務化の対象年齢は、以下のとおり、年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成25年4月1日までに段階的に引き上げていくこととしています。
 ・ 平成18年4月1日〜平成19年3月31日  :62歳
 ・ 平成19年4月1日〜平成22年3月31日  :63歳
 ・ 平成22年4月1日〜平成25年3月31日  :64歳
 ・ 平成25年4月1日以降  :65歳

年金の個人記録:日本年金機構のホームページから、 年金加入記録照会・年金見込額試算の申し込みが出来ます。

(例) 60歳定年の企業における継続雇用制度等の雇用終了年齢
高年齢者雇用確保措置の実施義務化の対象年齢の段階的引上げにより、60歳定年の企業における、定年到達日の属する期間別の継続雇用制度等の雇用終了年齢は、以下のとおりとなります。
 ・ 平成18年4月1日〜平成19年3月31日60歳定年到達者  :63歳
 ・ 平成19年4月1日〜平成21年3月31日60歳定年到達者  :64歳
 ・ 平成21年4月1日以降60歳定年到達者  :65歳

国の行っている年金でさえ、今破綻の危機に瀕しています。国が推奨した適格年金や厚生年金基金も同様です。各企業と社会の変化にあわせて、今後の退職金制度は、5年ごと(最長でも10年ごと)に見直していくことも必要です。

それでは退職金共済制度を紹介します。


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1  特定退職金共済制度
       (従業員のみ、役員対象外)
http://www.tokyo-cci.or.jp/kyosai/tokutai.html
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 この制度は商工会議所が、国(税務署)の承認を得て実施しています。

■特長
退職金制度の確立は、従業員の確保と定着を図り、企業経営の発展に役立ちます。
中小企業でも安定した退職金制度が容易に確立できます。
月々、定額の掛金を支払うことにより、将来の退職金を計画的に準備できます。
事業主が負担するこの制度の掛金は、全額損金または必要経費に計上できます。(所得税法施行令第64条、法人税施行令第135条)
しかも従業員の給与所得にもなりません。(所得税法施行令第64条)
従業員の過去勤務期間を制度加入後の期間と通算することができます。(基本掛金のほかに過去勤務掛金を払い込んでいただきます)
「勤労者退職金共済機構」が実施する退職金制度(中退共)との重複加入が認められます。(他の特定退職金共済制度との重複加入は認められません)
法律で定められた退職金支払いのための保全措置が講ぜられます。(賃金の支払の確保等に関する法律第5条)
掛金は、生命保険会社に運用を委託しています。

■掛金
基本掛金月額・・・従業員1人につ最高30口(1口1,000円〜30,000円)まで加入できます。
口数の増加・・・・・・・基本掛金月額の範囲で増口できます。
過去勤務掛金・・・・・従業員1人につき最高22口まで加入できます。

■契約できる事業主(共済契約者)
 商工会議所の定める地区内で事業を営む事業主であれば、加入できます。

■加入できる従業員(被共済者)
@ 年齢満15歳以上、満70歳未満の従業員(加入継続は年齢満80歳に達した時までです)。
A 従業員給与部分を受ける使用人兼務役員。但し、該当する兼務役員は全員加入します。

※加入させなくてもよい従業員
@ 時間を定めて雇われている方
A 季節的な仕事のために雇われている方
B 試用期間中の方
C 非常勤の方
D パートタイマーのようなに労働時間の特に短い方
E 休職中の方

■加入できない従業員
@ 年齢満15歳未満または満70歳以上の従業員
A 個人事業主
B 個人事業主と生計を一にする親族
C 法人の役員(使用人兼務役員を除く)
D 他の「特定退職金共済団体」の被共済者(加入者)

■掛金のお払い込み
 この制度の掛金はすべて初回から預金口座より自動的に毎月引き落としさせていただきます。掛金は、法人の場合は法人口座から、個人事業所の場合は個人事業主の口座から引き落としいたします。

■給付金について
@ 退職一時金 加入従業員(被共済者)が退職したとき退職一時金(下表のとおり)が支払われます。
A 遺族一時金 加入従業員(被共済者)が死亡したとき遺族一時金(下表のとおり)が遺族に支払われます。(退職一時金に基本掛金1口につき10,000円が加算された額)
(注)遺族とは、労働基準法施行規則に定める遺族補償の順位によります。
B 退職年金 加入従業員(被共済者)が加入期間10年以上で退職し、年金を希望したとき退職年金が10年間支払われます。
なお、年金の受給期間中に死亡したとき、残余期間分の年金は、遺族に支払われます。
C 解約手当金 やむを得ず途中で契約を解約した場合、解約手当金が加入従業員に支払われます。
(注)解約をする場合には、加入従業員(被共済者)全員の「解約同意書」が必要です。
(注)解約手当金は、従業員の一時所得となります。

退職一時金・遺族一時金 金額表(単位:円)
加入
期間
30口 20口 10口 5口
退職一時金 遺族一時金 退職一時金 遺族一時金 退職一時金 遺族一時金 退職一時金 遺族一時金
1年 348,180 648,180 232,120 432,120 116,060 216,060 58,030 108,030
2年 699,870 999,870 466,580 666,580 233,290 333,290 116,645 166,645
3年 1,055,040 1,355,040 703,360 903,360 351,680 451,680 175,840 225,840
4年 1,413,810 1,713,810 942,540 1,142,540 471,270 571,270 235,635 285,635
5年 1,776,120 2,076,120 1,184,080 1,384,080 592,040 692,040 296,020 346,020
6年 2,142,090 2,442,090 1,428,060 1,628,060 714,030 814,030 357,015 407,015
7年 2,511,720 2,811,720 1,674,480 1,874,480 837,240 937,240 418,620 468,620
8年 2,885,010 3,185,010 1,923,340 2,123,340 961,670 1,061,670 480,835 530,835
9年 3,262,080 3,562,080 2,174,720 2,374,720 1,087,360 1,187,360 543,680 593,680
10年 3,642,870 3,942,870 2,428,580 2,628,580 1,214,290 1,314,290 607,145 657,145
15年 5,604,870 5,904,870 3,736,580 3,936,580 1,868,290 1,968,290 934,145 984,145
20年 7,666,920 7,966,920 5,111,280 5,311,280 2,555,640 2,655,640 1,277,820 1,327,820
25年 9,834,150 10,134,150 6,556,100 6,756,100 3,278,050 3,378,050 1,639,025 1,689,025
30年 12,111,930 12,411,930 8,074,620 8,274,620 4,037,310 4,137,310 2,018,655 2,068,655

【注】
1.年の途中で退職または死亡したときは、月単位で計算された額が支払われます。
2.給付額は東京商工会議所特定退職金共済規約に基づく金額であり、将来の経済情勢または引受保険会社の配当金の変動等により改訂されることがあります。

■税務と経理処理について
1 事業主が負担した「掛金」は、全額損金または、必要経費に「特定退職金共済掛金」として計上します。(所得税法施行令第64条、法人税法施行令第135条)
2 加入者が受取る「退職一時金」は、退職所得として「退職所得控除」が受けられます。(所得税法第30条、同法施行令第72条)
3 遺族が受取る「遺族一時金」は、相続財産となります。(相続税法第3条)
4 「退職年金」は、雑所得として公的年金の控除が受けられます。(所得税法第35条、同法施行令第82条の2)
5 「年金」開始後に、残余の年金原価を一時金で受取る場合は、退職所得となります。(所得税基本通達法第30条の4)
6 「解約手当金」および制度の要件に違反して受取る一時金は、一時所得となります。(所得税法施行令第76条)

■加入手続き
ご加入手続きの詳細については、委託生保会社または商工会議所共済センターへおたずねください。

■委託生命保険会社および引受割合
(東京商工会議所 2004年4月1日現在)
幹事会社 アクサグループライフ生命保険株式会社
 (業務代行:アクサ生命保険株式会社) 66.69%
副幹事会社 日本生命保険相互会社 4.80%
  エイアイジー・スター生命保険株式会社 0.01%
  AIGエジソン生命保険株式会社 3.30%
  住友生命保険相互会社 9.20%
  第一生命保険相互会社 6.30%
  大同生命保険株式会社 2.30%
  富国生命保険相互会社 2.60%
  明治安田生命保険相互会社 4.80%
  (50音順)


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2  中小企業退職金共済制度
     <中退共>(従業員のみ、役員対象外)
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 中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。
中退共制度をご利用になれば、掛金の一部を国が助成し、安全・確実・有利で、しかも管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。

この中退共制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しています。
賃金の支払いの確保等に関する法律(賃確法)では、事業主は退職金の原資を保全する措置を講ずるよう努めなければならないとされています。

@事業主が [機構・中退共] と退職金共済契約を結びます。後日、共済手帳を送付します。
A毎月の掛金を金融機関に納付します。掛金は全額事業主負担です。
B従業員が退職したときは、その従業員の請求に基づいて機構、中退共から退職金が直接支払われます。

加入できる企業 中退共制度に加入できるのは、次の企業です。ただし、個人企業や公益法人の場合は、常用従業員数によります。

一般業種(製造・建設業等) ・・・常用従業員数300人以下 または 資本金・出資金3億円以下
卸売業 ・・・常用従業員数100人以下 または 資本金・出資金1億円以下
サービス業 ・・・常用従業員数100人以下 または 資本金・出資金5千万円以下
小売業 ・・・常用従業員数50人以下 または 資本金・出資金5千万円以下

常用従業員とは、1週間の所定労働時間が同じ企業に雇用される通常の従業員とおおむね同等である者であって、
@雇用期間の定めのない従業員、
A雇用期間が2ヶ月を超えて雇用される従業員も含まれます。

従業員は原則として全員加入させてください。ただし、定年などで短期間内に退職することが明らかな従業員や、期間を定めて雇われている従業員等は加入させなくてもよいことになっています。

2007.08 中小企業退職金共済制度への加入動機についてのアンケート調査報告書

[ご注意]
1.個人企業の場合、事業主及びその配偶者は加入できません。
2.法人企業の場合、役員は原則として加入させることができません。
3.中小企業退職金共済法に基づく「特定業種(建設業、清酒製造業、林業)退職金共済制度」との従業員の重複加入はできません。

■掛金の選択
 従業員の年齢、仕事の経験度、勤続年数などに応じて選択ができます。

【掛金月額】
 毎月の掛金月額は下記の種類からお選びいただけます。
5,000円 6,000円 7,000円 8,000円 9,000円 10,000円 12,000円 14,000円 16,000円 18,000円 20,000円 22,000円 24,000円 26,000円 28,000円 30,000円
【短時間労働者の特例掛金月額】
 短時間労働者(パートタイマー等)の方も加入することができます。
通常の従業員より低い掛金月額も用意されていますので、加入しやすくなっています。
2,000円 3,000円 4,000円
※短時間労働者とは、いわゆるパートタイマー等、1週間の所定労働時間が、同じ企業に雇用される通常の従業員より短く、かつ30時間未満である従業員をいいます。

@ 掛金納付月数が1年未満の場合は、退職金は支給されません。1年以上2年未満の場合は掛金納付額を下回る額になります。(これらは長期加入者の退職金を手厚くするためです。)2年から3年6か月では掛金相当額となり、3年7か月(43月)から掛金相当額を上回る額になります。

A 退職金の受給権者は、従業員です。(従業員の死亡による退職の場合は、その遺族が受給権者となります。

個人は退職所得税控除のメリット
勤続年数退職所得控除額
20年以下の場合40万円×勤続年数
(80万円未満の場合は80万円)
20年超の場合70万円×(勤続年数−20年)+800万円


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3  生命保険
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情報提供:AFC(関)

福利厚生プラン
養老保険(無配当)

1 死亡保険金は、遺族の方にお支払いします
2 保険料の2分の1を損金に算入することができます(役員従業員全員被保険者に加入のとき)
3 貯蓄性が高いので財源確保になります
4 解約返戻金の一定範囲内でご契約者(企業)貸付制度があります


経営者保険
逓増ていぞう定期保険(無配当)

1 満期返戻金は0円、掛け捨て、死亡保険金は契約者(企業)にお支払いします
2 勇退による退職の場合には、解約返戻金を契約者(企業)にお支払いします
@ 変動率型・・・・期間20年・税効果実質解約返戻率が5年前後に高くなります
A 定率型・・・・期間40年・同実質解約返戻率が30年前後に高くなります
3 一定の要件のもとで損金扱いになります(一定の要件で前払期間と資産計上額があります)
4 解約返戻金の一定範囲内でご契約者(企業)貸付制度をご利用いただけます
5 一定の要件のもとで終身保険への変更も可能です


長期平準定期保険
100歳満了定期保険(無配当)

1 満期返戻金は0円、掛け捨て、死亡保険金は契約者(企業)にお支払いします
2 勇退による退職の場合には、解約返戻金を契約者(企業)にお支払いします
3 一定の要件のもとで損金扱いになります(前払期間と資産計上額があります)
4 解約返戻金の一定範囲内でご契約者(企業)貸付制度をご利用いただけます
5 一定の要件のもとで終身保険への変更も可能です







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